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骨粗鬆症

骨粗鬆症について

骨粗鬆症とは加齢にともないだんだんと骨が弱くなる事ですが、ほとんど自覚症状がなく骨折するまで気が付かない(検査を受けない)方も多いです。骨(海綿骨)を顕微鏡で観察すると、スポンジのような網の目状の構造になっており、この網の目を構成する一本一本の部分を骨柱と呼びます。骨粗鬆症の骨は、骨柱が次第に細くなり、やがてとなりの骨柱とのつながりもなくなっていきます。空洞だらけになってしまった骨は強度が低下し、軽微な力で骨折してしまいます(脆弱性骨折)。
また、しらない間に背骨が骨折をおこして(無症候性骨折)身長が縮んでしまうこともあります。

森論史:中村耕三 編. 整形外科臨床パサージュ4 骨粗鬆症のトータルマネジメント. 東京, 中山書店, 24, 2010

骨粗鬆症の原因

多くは加齢が原因となりますが、糖尿病や慢性腎臓病などの病気が原因になる場合もあります。
加齢性の場合は特に女性に多く、これは閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することが原因です。エストロゲンは骨を溶かす働きをもつ「破骨細胞」の成長を抑える働きがあるため、エストロゲンが減少するとその抑えが効かなくなり、破骨細胞が増加します。
その結果、骨がどんどん溶かされ減ってしまうため、骨粗鬆症になってしまいます。

骨粗鬆症の検査・治療

一般的には骨塩定量と呼ばれる検査をおこないます。これは骨の中のミネラル成分(主にカルシウム)を調べる検査で、骨の固さを調べる検査になります。骨塩定量検査はいろいろな方法がありますが、日本骨粗鬆症学会ではDEXAと呼ばれる機械で腰椎と大腿骨の2カ所を計る事を推奨しています。大きな機械のため設置できる施設が限られますが、当院でも導入予定です(2021年12月予定)。
腰椎や股関節を手術されている方は測定が困難になりますので、前腕や踵で検査する場合もあります。

骨粗鬆症の治療薬は近年種類が増えてきましたが、大きく分けると骨を溶かす「破骨細胞」の働きを抑えるタイプと、骨を作る「骨芽細胞」を活性化させるタイプに分かれます。
現在骨を作るタイプの薬は注射薬しかなく、多くの方は内服できる破骨細胞の働きを抑えるタイプの薬から処方します。
しかし多発椎体骨折がある方や骨塩検査で重度の骨粗鬆症を認めたかたは早期から注射の薬を使う場合もあります。骨粗鬆症の治療は(途中で休薬する場合もありますが)一生の付き合いになりますので、その時点での年齢、骨密度、合併症、家族歴などを考慮して骨粗鬆症の重症度を考え、処方を決めていきます。

あなたの骨は今後どうなる?

骨粗鬆症の代表的な検査である骨塩定量検査は、現時点での骨の固さを表すものです。では今後骨がどうなって行くのかを調べる方法はないのでしょうか。
血液検査で、骨を溶かす「破骨細胞」と骨を作る「骨芽細胞」の活性度を調べることができます(骨代謝マーカーと呼びます)。未治療の骨粗鬆症患者さんの血液検査を見ると、「破骨細胞」のマーカーが上昇している場合が多く、そのまま放置すると将来的に骨量は減少していくことが予想されます。
この検査を治療薬の開始前後で計測することで、治療薬の効果判定ができるため、当院ではできるだけ治療開始前に採血検査をするようにしています。
また骨の強度は骨密度7割、骨質3割と言われています。簡便に骨質を評価する方法がなく骨密度のみで評価していましたが、TBSと呼ばれる骨の構造を評価する機器を導入いたしますので、今後は骨密度と合わせて骨粗鬆症治療・骨折の抑制に生かしていきたいと考えています。

NIH Consensus Development Panel on Osteoporosis Prevention,
Diagnosis, and Therapy:JAMA 285(6):785, 2001より作図

パンフレット

骨粗鬆症

もっと詳しく知りたい方は

日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 骨粗鬆症

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